エロや色気は、主体性。目指すは、「エロいおばさん」
――前編で「おばさんになってから美容が楽しい」というお話がありました。具体的にどんなことを実践されていますか。
ジェーン・スーさん(以降、スー) 実践はしてないんですけど、最近の驚きといえば「膣トリートメント」ですね。「SATC」の原作者、キャンディス・ブシュネルの新作の中で「モナリザ・トリートメント」という言葉を発見して、「ち、ちっ、膣トリートメントぉ!?」って腰抜かしてたら、女性誌の編集者さんが「私この前やってきました!」と。さらに追い打ちをかけるように神崎さんまでネットのインタビューで膣ケアの話をされていて、もう水際まできてんな!と改めて感じています。と、言いつつ自分はまだ医療系のVIO脱毛に手を出してないレベルなんですけど。
神崎恵さん(以降、神崎) VIO脱毛、爽快ですよ。軽く生まれ変わったような気持ちになるっていうか、なんか人生、開けます。
スー 楽しそうですよね。私は一度だけアメリカでVIOのワックス脱毛をやったことがあるだけなんですが、爽快でした。
神崎 新たなケアの扉が、今、開く(笑)。それこそ究極の「自分ケア」ですよね。私は30代後半でVIO脱毛したので、それが逆に良かったというか。誰のためでもなく、自分のためにしてる、という感覚がね。
スー 誰のためでもない、そうですね。20代30代はちゃんとケアしている子を羨んだり、「そんなことばっかにうつつ抜かして」みたいにやっかんだりしてしまったけど、今ようやく美容が楽しいですね。
神崎 美容はどんなものを楽しんでいらっしゃいますか?
スー やっぱりエステなんかだと40歳過ぎてからの劇的な変化が楽しくてしょうがない、というのがありますね。私はずっと身体がデカかったんですね。太っているというより、タッパもあって厚みもあるというか。だからどうしても皆と一緒になれなくて、丸首のTシャツ着るとママさんバレーみたいになっちゃうし、ファッションもずっと迷子でした。
でも、40歳過ぎてようやく自分の目指したい方向が見えてきた感じがあって。プラスサイズモデルでもフワフワしたマシュマロっぽい感じじゃなく、アシュリー・グラハム(写真)みたいなエロカッコいい、クールなプラスサイズモデルが俄然気になりだしたんです。
他人を妬むような気力はない。あるのはシスターフッドだけ
神崎 筋肉もしっかりありながら肉感的で、見せるところはバンっと見せるスタイルですよね。
スー そうそう。で、「エロいおばさん」という方向性が見えたら筋トレも行きだして、着る服も美容も楽しくなりだしたんですね。といっても過剰なケアは全然してないです。普段は化粧水パッとつけるくらいですけど、たまにエステに行けばバーンっと効果が出るし、たぶん48歳の今が一番、素直に美容と向き合えてます。
神崎 確かに、おばさんになるごとに素直になれるんですよね。というか、体力がなくなってきてるから、もう大事なことにしか体力が使えない(笑)。
スー だから他人を妬むような気力もなく、あるのはシスターフッドだけ。特に同年代の女性たちがエロいと、本当に鼓舞されますね。
先日、スタイリストの大草直子さんと対談して。大草さんは私のひとつ上で49歳なんですけど、「いつでも自分のために脱げる身体にしておきたい」って。大草さんは「エロい」じゃなく「生っぽい」という言い方をされてたけど、この歳になるとエロや色気って主体性ですから。そういうのがちゃんとあるのは本当に素敵。
神崎 たしかに昔の「エロ」ってもっと画一的で、男目線、他人目線で作られたところがありました。
スー そうそう。ちょっと前の世代だとものすごい巻き髪でブランド物で固めたキメッキメの、もう息もできない、みたいな感じの人しかいなかったしね。だけど、大草さんはラテンで自然なのがいいなって。神崎さんも、ヘルシーにエロい。
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