連載 VOCE特別インタビュー

若手音楽シーンを自在に泳ぎ、新たなドラマー像を描く大井一彌の素顔に迫る(DATS/yahyel)【VOCE♡YOU】Vol.4

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いまVOCEが一番会いたい人を取材する不定期連載【VOCE♡YOU(ヴォーチェ・ラヴ・ユー)】。第4回は、ユースカルチャーのシーンを飛び越えて大きな注目を集めるバンド、DATS/yahyelでドラマーとして活躍する大井一彌さん。自らが所属するバンドだけではなく、サポートドラマーとしても活動の幅を広げる彼の素顔とは??

今年6月にメジャーデビューを果たしたDATSと、アメリカで毎年行われるフェス『sxsw』やフランスで開催された音楽フェス『La Magnifique Society』に出演するなど、国内外で注目されているyahyel。日本のユースカルチャーを牽引する2バンドでドラマーとして活躍するだけでなく、モデルなどもこなす大井一彌さん。ブレイク必至の彼にVOCEは注目し、出自から今後の活動についてまでたっぷり語ってもらいました!

大井 一彌

「一瞬で魅せられて、導かれるようにしてドラムを始めました」

——VOCE読者は初めましての人が多いと思うのですが、まずは大井さんがドラムを始めたきっかけからお聞かせください

「中学3年生の終わりに始めて触ったドラムという楽器に一瞬で魅せられて、導かれるようにしてドラムを始めました。最初から他の楽器を選ぶっていう選択肢は、なぜかなかったんです。高校2年生になる頃には、“ああ、これでやっていくんだろうな”っていう決心はついていましたね。そこで、高校の勉強はすべて放棄して、音大進学のために音楽の勉強を始めたんです」

——音大ではどんなことを学ばれたんですか?

メインで学んでいる楽器がジャズのドラムで、それ以外にクラシック、オーケストラの小太鼓だったり、打楽器だったり。他には楽典や音楽理論の授業でピアノを少々やっていました」

——大学時代もバンド活動を?

「大学時代もバンドはやっていましたが、当時はバンドマンとしての生き方は考えていませんでした。音楽を仕事にすることを考えたときに、バンドマンというよりはむしろ、プレイヤーであることを自覚したほうが、自分という存在が有用なんじゃないかと思い始めたんです。だから、商業的な音楽現場、いわゆるレコーディング現場や、ライブのサポートなどで活動するほうがいいのではないか、と。そういった場所でプロの音楽を作っている人や、ミュージシャンと同じ言語を持つことが重要だなと思って、その習得に努めました」

大井一彌

「DATSに入る前から、このバンドとフィットしていることがわかっていた」

——大学時代はそうやって過ごしているなかで、2015年にDATSに加入しましたよね。お誘いがあったときに、迷いはなかったですか?

「当時はバンドマンとしてのドラマー像を求めていなかったのですが、不思議と迷いなく決められました。DATSはステージをお客さんとして観ていたときから、“あそこに僕がいたなら”って考えているようなことがあったりして。だから、始めからもうフィットしているってわかっていたんです」

——DATSのメンバーについて教えてください

DATSのリーダーであるボーカルのMONJOEは、僕にとっては新しいタイプの人間でした。加入前、僕自身がちょうど生のドラムよりも、もう少し電子的な楽器を使ってみたいと思っていた時期で。そういうものに自分の琴線が触れる時期だったんですよね。そこで、MONJOEがそういう音を作っていたので、なんかこう憧れちゃって。そしたら、当時yahyelのメンバーでもある篠田ミルが、彼のことを紹介してくれたんです。それがきっかけで、DATSへの加入が決まりました」

大井一彌

「自分の音楽軸をあえて設定することで、物事を判断している」

——DATSとしては、昨年はフジロックに出演したり、今年はロッキンジャパン、年末にはカウントダウンジャパンと大型フェスに多数出演。yahyelとしても、国内外のフェスへの出演だけでなく、メンズブランド『BED J.W. FORD(ベッドフォード)』の音楽を手掛け、ミラノコレクションにも行かれたり、PARCOのCM曲を手掛けたり……ますます活躍の場を広げていますよね。そんな中で周りの人たちも含め、現在ではユースカルチャーの中心的な存在になっていると思うのですが、音楽との向き合い方は変わらないですか?

「僕は音楽との向き合い方は変わらないですね。ユースカルチャーやトレンドを意識することも、あまりありません。強いて言えば、自分の出自みたいなものを意識していて、僕の音楽テーマとして“サイケデリック”という軸を持っています。あえてそれを設定することで、そこからどれくらい距離が離れているか、そこと何が違うのかで、物事を判断しています。音楽にまつわるものの見方とか、価値観みたいなものって、僕の中では固定された一点がありますね」

大井一彌

「DATSのアルバムは美容効果抜群です!」

——今年6月に発売されたDATSのメジャーデビューアルバム『Digital Analog Translation System』について、どんなアルバムか教えてください

DATSの『Digital Analog Translation System』は美容に効果がいいですね。肌にすごくいいです(笑)。10月から東名阪ツアーを行なっているのですが、ジムに行くよりもサロンに行くよりも、DATSのライブに来てくれたほうが健康にもいいです! デカい音を浴びて、身体が勝手に動いて踊り出してしまうっていう感覚をまだ持っていない人がいるんだとしたら、一度来てください。人いきれで汗をかく熱狂する感覚を、DATSのライブでは味わえます。すごくシェイプアップしますよ!

大井一彌(おおい・かずや)
PROFILE:1992年6月12日生まれ。高校時代からバンド活動を始め、音大に進学したのち、2015年にDATSとyahyelの2バンドに加入する。バンドとしての活動以外に、他アーティストのサポートドラムや、アパレルブランド『THEE』のルックモデルなども務めている。DATSとしては今年6月にアルバム『Digital Analog Translation System』を、yahyelでは今年9月に新曲『TAO』をリリースしている。

DATS 『Digital Analog Translation System』ワンマンツアー
DATS 『Digital Analog Translation System』ワンマンツアーの最終公演が、11月10日(土)に恵比寿のLIQUIDROOMで開催。ぜひこの機会に足を運んでみて!

2018年11月10日(土) LIQUIDROOM
OPEN 18:00/START 19:00 ALL STANDING
前売り¥3500(ドリンク代別途必要)
https://eplus.jp/ath/word/67262

撮影/草野庸子 取材・文/戸塚眞琴

Edited by 渕 祐貴

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