連載 VOCE特別インタビュー

【本谷有希子】今抱えているコンプレックスは、無理に解消しないで【書籍『わたしたちが27歳だったころ』発売記念連載vol.5】

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【本谷有希子】今抱えているコンプレックスは、無理に解消しないで【書籍『わたしたちが27歳だったころ』発売記念連載vol.5】

さまざまな分野で活躍する女性たちの「27歳」だった頃のお話をまとめた書籍『わたしたちが27歳だったころ』。彼女たちの経験の中には、自分なりの幸せを掴み取り、自信をつけ、内面からも美しくあるためのヒントが。VOCEスペシャル公開第5回は、劇作家で小説家の本谷有希子さんからのエールです。

VOL.5本谷有希子さんからのエール
「今抱えているコンプレックスは、無理に解消しないで」

20歳で劇団を旗揚げするなど、自分らしい活動を早い段階で進めてきた本谷さん。20代はコンプレックスや自意識との戦いだったそう。歳を重ねることでその戦いから抜け出し、「凸凹がある世界って楽しいよね」と話す、本谷さん流・コンプレックスとの向き合い方について。

本谷有希子(もとや ゆきこ)

1979年7月14日生まれ、石川県出身。2000年、『劇団、本谷有希子』を旗揚げ。『遭難、』で鶴屋南北戯曲賞、『幸せ最高ありがとうマジで!』で岸田國士戯曲賞を受賞。’02年小説家デビュー、’16年に『異類婚姻譚』で芥川賞受賞。

焦燥感の塊だった20代。生き急いだ自分、
よくやった!と言いたい

20歳で劇団を立ち上げた当初は、割と風当たりは強かったです。『劇団、本谷有希子』っていう自分の名前を冠にして、劇団員は一人も作らないっていう、そのやり方にまず反感を持たれたこともあったし、当時は作・演出が若い女性っていうのも非常に珍しかったので、女性という武器を使って目立とうとしてるという風に受け取った方もいたと思います。

かなり厳しい目を向けられていた感覚があったんですけど、27歳くらいになると、それまでにどういう作品を作ってきたのかや、活動の内容、それに劇団が続いていること自体にみんなの視線がシフトするようになった。強すぎた第一印象への反応がようやく薄らいだような感じ(笑)。

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ただただ、嗅覚を頼ってみる

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