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【相席スタート山添寛】「自分はなんのためにいるんやろ」を乗り越えて

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コンビだけでなく個人でもコントの舞台に立ち続け、近年ではバラエティ番組でも引っ張りだこ。美容に挑んだVOCE人気シリーズ『クズ芸人が肌だけ更生する話』がひと区切りした今、出る媒体ごとに違う顔を見せる、多面的な魅力の秘密にライター西森路代が迫る。

世間から見ると、出てないほうがポンコツ扱い

――コンビとしてもテレビによく出られてましたし、最近はピンでも活躍されてますが、以前には芸人をやめようと思っていた時期もあったそうですね。

山添「それは、ざっくり話すと、『一時期、僕もいろんな事に対してのイヤイヤ期に入ってたとき』ですね。そんな中、ケイさんと距離ができていたときがあったんです。それで、僕が距離をとること自体がケイさん的にはストレスになってしまっていたみたいで。でも、あるとき、今まで遠慮してたことを全部、遠慮せずに出して、ちゃんと『お笑い』としてやりきってみようと」

――その時には、どんなことをされたんですか?

山添

「それまでは、MCの人が僕にふってきたときも『相方が喋ったほうがいいから』と後ろに下がっとこうとしてたんです。でも、その考え方を一旦、振り払って。『ふってもらったら、思いついたことを喋ろう』ということをしました。ギアが変わった感じです。
 その頃、鬼越トマホークにも、クズの部分を暴露されて、それに対して『やめろ!』って言うんじゃなくって、『何が悪いねん』と、開き直るのほうでいったら、だんだんとMCの人にふってもらえるようになってきて。そこからだんだん仕事ももらえるようになってきました」

――それまでの山添さんは、腐ってしまったりはしなかったんですか。

山添「今思えば腐ってたんじゃないですかね。それまでは、じゃない方でも、ネタを書いてたらいつか報われる日が来ると思ってたんです。だからこそ、相方だけ仕事が増えても、それは必然だと思ってたし。そういうことは分かった上でネタを書いてて、思い描いてた通りに相方の仕事が増えていって。
 その分、相方にもプレッシャーがかかったと思うんですよ。そのケアも相方として出来てなかったと思うし。世に出ているほうと出てないほうってなると、世間から見ると、出てない方がポンコツになるわけで」

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『ポンコツなほうです』がやれなかった腐り期

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