この記事を書いたのは…
ライター
横川 良明(よこがわ・よしあき)さん
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。著書に『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』(サンマーク出版)、『役者たちの現在地』(KADOKAWA)がある。
Twitter:@fudge_2002
もはや回避困難! 「推し疲れ」とは
今やすっかりメジャーになった「推し」というフレーズ。アイドル、俳優、声優、お笑い芸人から、アニメやゲームのキャラクター、さらには美容アイテムまで、何かしらの推しをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一方で、推しを応援することに疲弊感を覚える「推し疲れ」なる現象が話題に上がることも。VOCEアンバサダーへのアンケートによると、推し活経験者のうち67.9%の方が推し疲れを経験したことがあると回答しました。楽しむためにやっているはずの推し活になぜ心をすり減らされてしまうのか。1億総オタク時代に見る推し疲れの原因と対策について考察します。
あなたの推し疲れはどこから……?
ただ、一言で推し疲れと言っても、その理由はさまざま。ざっくり分けると、<推しがしんどい><運営がしんどい><人間関係がしんどい>の3つのケースが考えられます。そこで、ケース別に「推し疲れ」を感じる理由を探ります。
<Case1>愛しているのに・・・推しがしんどい
◆熱愛、結婚、脱退、解散。「大切なお知らせ」に心が突然空っぽになる問題
良くも悪くも推しは赤の他人。私たちは「自分の見たいところだけを見て」推しを応援しています。熱愛や結婚、グループからの脱退やグループそのものの解散は、推しの基本ステータスを揺るがす一大事。見たくないと思っていたものが見えてしまったり、見たいと思っていたものが見られなくなります。
「さようなら愛したあなたはもういない」
一句詠んでしまう悲しみです。
◆雑誌に舞台にインスタライブ。推しの供給に追いつかない問題
推しが売れてくれるのはありがたいこと。でも、推しの露出が増えれば増えるほど、そのすべてをチェックするのは至難のワザに。推しのカッコいいお写真を見られるのはうれしいですが、毎月の雑誌代もバカにはなりません。
人気の俳優・アーティストとなれば舞台やライブのチケットは即完。行きたくても物理的に遠すぎて行けないという地域格差もオタクの心を苦しめます。推しのすべてを知りたい。だけど全部は網羅できない。今この瞬間も推しが舞台に立っているのに、なぜ私はクリアしたドラクエをまた最初からやってるの? 推し、とりあえずインスタライブを昼間に突然するのはやめて〜!!
◆推しの言動にモヤモヤ。本当にこの人を推し続けていいのだろうか問題
人権意識が高まった昨今。推しに聖人であれと強要はしたくないけれど、できれば推しにはまっとうな倫理観を持っていてほしいと願う気持ちもまた事実。バラエティに出たときの何気ない発言に「女性のこと、下に見てる……?」と感じたり、ライブMCの際のメンバーに対する強めのイジリに「小学6年生かよ……」とドン引きしたり。中身を知れば知るほど、なぜ自分が推しているのかわからなくなることも。顔なの? まあ、顔ですけど!
◆この感情はもはや義務感? 推し活にもある3年目のジンクス問題
人間ですから、飽きは来ます。とは言え、推してきたなりの情もある。もはや特に燃え上がる気持ちもないのに、惰性でチケットをとったり、録画した番組を流し見したり。この時間があればもっと他のことができたのに一体何をしているんだろうと途方に暮れる日もあります。ですが、よく考えてください。恋人だって3年経ったら倦怠期に入りがち。推しとてそうなるのも自然の理なのです。
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