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『逃げ恥』『アンナチュラル』【人気脚本家・野木亜紀子】はなぜ“戦う女”を描くのか

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『けもなれ』は会社員時代に感じた疑問から生まれた

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──過去の作品を含めても、野木さんは女性の生きづらさを丁寧に書かれています。映像業界は男性社会だという話も聞きますが、野木さん自身がそのことで悔しい思いをされたこともあるのでしょうか。

野木「映像業界と言っても、映画とテレビはまた違うと思います。テレビ業界は局にもよりますが、男女に関しては基本的にフラットですね」

──たしかに、野木さん自身が関わるプロデューサーも女性が多いですね。

野木「そうなんですよ。TBSの磯山晶さんのように、女性で活躍している方が先陣としていらっしゃると社風もよくなっていくのかもしれません」

──ではどこから女性の生きづらさをすくい取られているのでしょうか。

野木「すくい取るまでもなく、そのへんにごろごろ転がっていますよ。具体的な実体験でいえば、一般企業で派遣社員をしていたときはよく感じていました。女性が7割もいる会社なのに、役員含め部長職以上は全員男性だったんです。男性は仕事がそれほどできない人も上に登っているのに、現場をまわしている優秀な女性たちが部長になれないことに不条理を感じました。今はさすがに女性も増えているとは思いますが」

──ジェンダーギャップは賃金格差にも関わってくる問題です。野木さんのドラマでいうと『逃げ恥』のみくりも、『けもなれ』の晶も元派遣社員でした。

野木「そうですね。『逃げ恥』のみくりは原作からある設定ですが派遣切りにあい、『けもなれ』の晶は派遣から転職で正社員になったから自分を殺して頑張っていました」

──野木さん自身は不満を溜め込まずに吐き出すタイプですか?

野木「私は、会社員時代から基本的に吐き出してきましたね」

──ずっと戦ってこられたんですね。

野木「そんなカッコイイ話ではなく、私自身が獣になれる人間なんです。ですが、大人になればなるほど、私のような人が誰かの役に立つこともあれば、迷惑なこともあるのだろうと自覚してしまいます。世の中のみんなが私のように言える人ばかりではない。むしろそうではない人のほうが多いと思います。きっと私のような人間に踏まれてきた、たくさんの人がいるんだよな……という反省から『けもなれ』は書いているんです。そこは常に意識しなければいけないと年々強く思います。自分が下っ端ではなくなってしまったので。下っ端が上に物申す分にはいいと思うんですけどね」

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『アンナチュラル』で描きたかった「普通に働く女性」

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