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教えてくれたのは…
精神科医
藤野智哉先生
幼少期に罹患した川崎病が原因で心臓に障害が残り、その病気と闘う中で医師を志す。現在は精神科病院や医療刑務所で精神科医として勤務するかたわら、「生きるのがラクになる方法」を数々のメディアで発信し、注目されている。著書は『誰かのために生きすぎない』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか多数。
Twitter:@tomoyafujino
「正体が見えないから不安になる!?」そもそも不安ってなに?
VOCEアンバサダー80名にアンケート!
多くの人が日常的に不安を感じているという結果に。「不安ってそもそも何?」「どうやったら解消できるの?」そんな疑問を、藤野先生に解消してもらいましょう!
私たちは簡単に「不安……」と口にするけれど、そもそも不安ってどんな感情なの?
藤野先生
多くの方が不安って何ですか?と聞かれても答えられませんよね。まさにそれが不安の正体です。不安はどんな存在なのかその正体がわからない“未知”なものやことから生まれるのが不安です。(未知イコール不安、ではなく未知から不安が生まれる、という話です)
例えば、お化け屋敷に行ったときのことを思い出してみてください。暗い道の先に何が出てくるのかがわからないときは不安を感じますが、お化けが出てきてその正体がわかった途端、不安は恐怖という感情に変わります。
このように先が見えない、見通しが立たないときに“未知“な場面で強く出るのが不安です。仕事でもプライベートでも、先が見えないまま思考が整理できていないと不安が強く出ることを覚えておきましょう。
また、不安とうつの症状を混同している人が多いのですが、不安が強いからといってうつだとは限りません。不安を放っておくことでうつになることもありますし、うつの症状として不安が強くなることもあります。自己判断せずにいつも不安で頭がいっぱいで、日常生活に支障があるようなときは、精神科や心療内科を受診してみるのも一つの手です。
一方でまだそこまで不安を強く感じていないなら、自分なりに不安解消法をいくつか準備しておきましょう。不安を感じたらすぐにそれを手放す習慣をいくつか用意しておけば、不安が怖くなくなります。
読者の“不安あるある”ソリューション
VOCEアンバサダーへのアンケート「どんなときに不安を感じる?」という質問でもっとも多かった回答が「仕事について考えているとき」、次いで「将来について考えているとき」という結果でした。
では具体的に、不安の対処法はあるのでしょうか……。VOCEアンバサダーのお悩みについて藤野先生に聞いてみました。
Q「相手にどう思われているのかがすごく気になります」
A 相手の気持ちはコントロールできないことを自覚して
藤野先生
どう思われているのかが気になるのは、相手に嫌われたくない気持ちの表れ。でも残念ながら人の気持ちはコントロールできません。もし、あなたが嫌われているように思い込んでいるなら、それは事実ではなくただの考えすぎの場合がほとんどです。「相手の気持ちは思い通りにならないし、読心術は当たらない」と知れば、どう思われているのかはあなたのせいではありませんから気にならなくなると思います。
Q「積み残した仕事のタスクを寝る前に思い出すと、不安で眠れません」
A 仕事終わりには翌日のタスクの処理方法や時間を把握しよう
藤野先生
翌日に残した仕事のタスクのせいで不安を感じるなら、仕事の見通しが立っていないことが原因です。会社を出る前に、明日のタスクは自分の力でどう処理して、どれくらいの時間で終わるのかを把握してプランを立てましょう。そうすることでタスクに対して“未知”な部分がなくなり、不安を感じなくなります。
Q「テレビやSNSで暗いニュースを見ると、心も暗くなり不安になります」
A 不安なときほど暗い情報とは距離をとる
藤野先生
一番簡単な方法はネットやテレビから距離をとること。テレビやSNSから流れてくるニュースは本当のこともあれば、フェイクな情報もたくさんあります。それこそ不安をかきたてる“未知”なことにあふれているわけです。情報は端的に事実だけを拾うほうが心は動かされません。例えば災害のニュースなどを確認する場合は、結論と事実だけを記述してある政府のページだけを見るようにしましょう。もしSNSが気になるなら、一日に何分以内にするなど、時間を決めて活用するのがオススメです。不安を感じやすい人ほどネガティブな情報ばかりに反応しがちなので、事件や悪い情報とは距離をとったほうがよいでしょう。
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10分で不安を解消するには?
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