高熱の窯と向かい合いながら、手早く形作っていく。光を浴びて幻想的な姿を見せてくれるガラス作品を作る行程には繊細さと大胆さが共鳴していました。
母が好きな色で気軽に使える花器を作りました
ガラス工芸をするのは今回で3回目です。約7年以上ぶりになると思うのでとても新鮮な気持ちでのぞみました。
スカイツリーの麓にある路地裏の工房にお邪魔させていただいたのですが、その佇まいもいかにも下町という雰囲気で心がくすぐられました。到着して、アーティストさんの作品をいくつか見せていただいて、何を作ろうかなと考えたとき、真っ先に頭の中に浮かんだのは花器。というのも僕、天国にいる母の仏前にいつもお花を飾るようにしているんです。最近はそんな僕の様子を見た娘たちもお花を飾りたがることもあり、花器はうちの中にいくつあってもいいなと思って。せっかくなら、子供でも手に取りやすいサイズ感の一輪挿しを作ることに決めました。ちなみに色をオレンジ系にしたのは、母が好きな色だから。光が当たるとガラスが透けてキラキラと瞬いて、これにたとえば真っ白な野草を飾ったら、きっとすごく可愛いですよね。ガラスの作品は完成まで冷ます時間が必要なのでこの日は持ち帰れなかったのですが、手に届くのが今からとても楽しみです。形が出来上がった直後はまだ熱を帯びているから実際の出来上がりの色とは違うので、きっと箱を開けた瞬間サプライズに感じるんだろうな。
作る工程は、真っ直ぐに集中できるという意味でも満喫できました。先生に肺活量を褒めていただいたのですが、肺活量にはわりと自信があったので「やっぱりそうか」とこっそり喜んでいました(笑)。大きく膨らませたいときと微調整したいときで吐く息の量を変えるのですが、作業が進むにつれどんどんコツが摑めてきて。形作りはちょっとでも気が緩むと窯の中でガラスがドローっと垂れて、丸を作りたいのにクロワッサンみたいになってしまった瞬間もあり難しかったです。あそこはある意味、時間との戦いでした。次にまた挑戦する機会があったら、今度はコップを作ってみたいです。食事をするときの食卓が華やぎそうですし、会話が弾みそうですよね。
今回は、ガラスの魅力も再発見できて、いろんな意味で素敵な“オトナの休日”でした。
「まずは色を決めるところから花器を作ろうと思います」
「ガラスを溶かす温度は1300度。軍手を装着してしっかり防御」
「ガラスは熱すると水飴状に。丸くなるようにくるくる……」
「フーフー息を吹き込んで形作り。肺活量を褒められてうれしい!」
「重曹入りの水をかけてから窯で熱して風合いを出します」
「木のヘラで底を平らにして置いて飾れるように調整」
【PROFILE】
たなか・けい 1984年7月10日生まれ。東京都出身。俳優として映画、ドラマなどで話題作に次々と出演するほか、舞台、CMでも活躍。現在、金曜ナイトドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)に出演中。5月より舞台『Medicine メディスン』に出演。
【INFORMATION】
今回行ったのは……
ガラス工房ZO
ガラスを素材に創作活動を行う工房。
住所:東京都墨田区吾妻橋3-4-5 大井ビル1F
電話:03・3622・0203
吹きガラス体験 20〜30分 ¥4500
撮影/川崎一貴 ヘアメイク/岩根あやの スタイリング/伊里瑞稀 取材・文/石橋里奈
Edited by 松本 薫
公開日: