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教えてくれたのは……
慶田朋子先生
銀座ケイスキンクリニック院長・日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。最新の美容医療機器や治療法を自らの肌で試し、その経験と高い知識で皮膚の悩みに何でも答えてくれる美肌の救世主。わかりやすい説明でメディア出演も多く、『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館刊)をはじめ切れ味鋭い著書も人気!
【唇の皮がむけやすい理由】設計ミス?って思えるくらい超デリケート!
慶田朋子先生
唇は、皮膚と口内粘膜のちょうど中間にあたり、“粘膜移行部”といわれるパーツ。角層がとても薄いのでうるおいが失われやすく、皮脂腺もありません。さらに、非常に脆弱なのに露出して表にさらされているという、すごく稀な部位。外的刺激も受けやすく、ちょっとしたことで皮むけが起こりやすくなります。唇は角層のターンオーバーが約3~5日とスピーディで、乾燥していても代謝でどんどん新しい角層が生まれてきます。だからこそ、ささいな症状は軽視されがちに。荒れや皮むけというのは“口唇炎”と呼ばれ、唇に軽い湿疹や炎症が起きてしまっている状態。想像以上に繊細だと思って、お手入れしてほしいですね。
【皮むけの原因】唇の皮むけは“ちょっとした刺激”ですぐに起こる!
慶田先生が「本当に健やかな唇は、なかなか見かけないかもしれない」と言うくらい、プチトラブルが絶えない唇。思った以上にデリケートなので、まずは何が荒れや皮むけを引き起こしているのか、原因から把握していきましょう!
乾きすぎ(口呼吸・たくさんしゃべる・大気の乾燥・紫外線)
慶田朋子先生
口呼吸の場合、唇を通過する空気の量が多く、スピードは早くなり、乾燥を招いてしまう要因に。そういう意味では、しゃべりっぱなしでも唇に負担をかけていると言えるでしょう。また、唇はもともと角層のバリア機能が弱いので、うるおいを抱えておく力がほとんどありません。露出部で外気の影響をダイレクトに受けてしまうため、大気が乾燥していると唇の水分があっという間に持っていかれます。紫外線も、うるおいを奪うのみならず、軽い炎症を生じさせてしまうので乾燥がどんどん加速してしまいます。
濡れすぎ(唇をよくなめる)
慶田朋子先生
唇をなめると、一瞬はうるおったように感じるかもしれませんが、濡れた後、唾液が蒸発する際に水分を奪っていくので、より乾燥が進んでしまいます。皮むけの一因になるので、クセになっている人は気をつけましょう。
刺激を与えすぎ(辛い食べ物・クレンジングによる摩擦)
慶田朋子先生
唇は食べ物の入り口なので、その分、食事を摂ることによって刺激が生じます。とくに辛いものや塩分の強いものは要注意。また、強いクレンジング剤やリムーバーは、それだけでも唇に負担がかかりやすくなります。落ちにくい口紅の場合は、落とすときにゴシゴシとこすって、過度な摩擦が起きてしまう可能性も。唇の皮がむけやすいのなら、落とすのが大変なリップメイクはしないのがベター。
ビタミンB群の不足
慶田朋子先生
ターンオーバーにおいて重要な役割を果たすのが、ビタミンB2やB6といったビタミンB群。ビタミンB群が足りていないと、肌も唇も炎症を起こしやすくなります。また、過剰な飲酒をしたときは体内で大量のビタミンB群が消費されてしまうので、意識して補うことが大切です。
マスク着用で唇の皮むけはさらに悪化する!?
慶田朋子先生
乾燥している環境は唇にとって良くありませんが、湿り過ぎた状態がキープされているのもNG。マスクをつけていると内側が過剰に蒸れて、肌と同様、唇にも皮膚炎が起きてしまう可能性も。いわゆる、赤ちゃんの“オムツかぶれ”のような状態です。また、マスクをはずした瞬間に水分は一気に蒸発していき、より唇の乾燥が深刻化。冬のように大気が極端に乾燥しているときはのどや肌が少しラクになるかもしれませんが、それ以外のときは、マスクは暑く蒸れ過ぎてしまう過酷な状況をつくり出していると心得て。
唇の皮むけを繰り返すと、老けが早い!?
慶田朋子先生
ただでさえ年齢とともに唇の輪郭が曖昧になっていくのに、きちんとケアしないと唇は老ける一方。皮むけ自体はわりと軽微な炎症ですが、経年で繰り返していると、唇のしぼみやシミ、縦ジワの目立ち、輪郭のくずれなど、エイジングのスピード感が高まります。また、肌が敏感になりやすいときは、唇も敏感になりやすいタイミング。いつも以上に丁寧なケアを意識しましょう。
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唇の皮がむけたときの正しい対処法
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