「視聴者の方々に嫌われるシーンもあるかも」
——ドラマ『放課後カルテ』で演じる学校医の牧野先生は、文句ばかりで態度も大きいキャラクター。これまで松下さんが演じてきた役柄とはひと味違いますが、どんなやりがいを感じていますか?
「おっしゃる通り、牧野先生は口が悪いし、言いにくいことをオブラートに包まず伝えてしまうので、誤解を生むことも多々あります。だから牧野先生を演じることで、僕も視聴者の方々に嫌われてしまう瞬間があるかもしれません(笑)。でも嘘をつかないことが牧野先生の魅力でもあって、ちゃんと自分なりの信念や正義感を持って、どんな相手ともまっすぐに向き合っている。そこが魅力的に見えるように演じることが僕の使命だと思っています」
——牧野先生は小学校の保健室に常駐する小児科医。役作りでは、どんな準備をしましたか?
「原作漫画を読み込むだけじゃなくて、身近にいる子育て経験者の親御さんからリアルなエピソードを聞くようにしました。やっぱりお子さんが活発な小学生の場合は頻繁に小さな怪我をして保健室のお世話になるそうですし、心理的な理由で毎日のように保健室に通っているお子さんの話も聞きました。そのときの親御さんの気持ちも教えてもらったので、とても参考になりました」
——そもそも松下さんにとって医師役はあまり経験がないですよね。
「そうなんです。すごく難しい医療用語を覚えられるか不安だったのですが、牧野先生は口数が多くないので、そこは助かりましたね(笑)。今回の作品は、現代的な小学生の悩みがリアルに描かれていますが、重苦しいわけではなくて、僕としては優しい光が差し込むようなヒューマンドラマにしていきたいです」
「僕も“許す”ことができる大人になりたい」
——松下さん自身が学生時代に出会ってきた“良い先生”に共通点はありますか?
「昔を思い出すと“許してくれた先生”の顔が何人か思い浮かびます。僕が授業中に寝てしまっても許してくれた先生もいたし、部活の帰りに遅くまで校舎に残って友だちと話していても許してくれた先生もいました。全部を許すわけじゃないけど、子どもの事情を察して“見守る”という判断ができる。そういう先生には今でもすごく感謝してますし、自分も特別な瞬間を見極めて子どもたちを許してあげられるような大人になりたいと思っています」
——撮影現場では生徒役の子どもに囲まれると思いますが、彼らがNGを出しまくっても許しますか?
「油断すると僕が子どもたちの足を引っ張る可能性だってあるので、偉そうなことは言いたくありません。仕事は時間に制限があるので多少の緊張感は必要ですが、子どもたちが萎縮しないようにノビノビと楽しめるような雰囲気を作っていきたいですね」
忙しくても部屋の整理整頓は欠かしません
——今の松下さんにとって“保健室の先生”のような存在は誰ですか?
「いつも一緒に行動してくれるマネージャーさんですかね。僕の小さな愚痴を優しく受け止めてくれるので(笑)。他にも、何も気にせず本音で会話できる家族も大切な存在だし、一緒にくだらない話をできる友だちに救われることもあります。そういった意味ではありがたいことに、僕の周りには保健室の先生のような存在がたくさんいますね。悩み事がある場合は、あまり一人で抱え込まずに信頼する人に話を聞いてもらうことが大切なんじゃないかと思っています」
——気分がモヤモヤしているとき、誰かと会って話す時間がない場合は、どんな方法でリフレッシュすることが多いですか?
「リフレッシュ法を聞かれたときにいつも答えているのですが、僕の場合は掃除です。仕事でヘトヘトになって帰っても、部屋をちょっと片付けたり、水回りをちょっとキレイに拭いたり、できる範囲で整理整頓すると、心も整います。メンタルは視覚の情報に左右される一面があると思うので、朝起きて、ちゃんと部屋が片付いていると素敵な1日が始まる気がするんですよね」
——ビジュアルのコンディションもメンタルに影響を与えると思いますが、日頃から美容のために心がけていることはありますか?
「胸を張って言えることはないのですが……。化粧水や乳液、シートパックなど基本的なスキンケアは欠かさないようにしています。クレンジングや洗顔料は、たまたまMEGUMIさんがメディアでオススメしていたモノと同じだったので、自信を持って使っています(笑)」
■松下洸平さんプロフィール
1987年3月6日生まれ、東京都出身。09年にミュージカル『GLORY DAYS』で初舞台を踏んで以降、俳優として数々の作品で活躍。NHK朝の連続ドラマ小説『スカーレット』でヒロインの夫、八郎役で人気を博す。最近の主な出演作に、ドラマ『9ボーダー』、映画『室井慎次 敗れざる者』などがある。音楽番組『with MUSIC』ではMCを務める。
■インフォメーション
ドラマ『放課後カルテ』
原作は講談社『BE・LOVE』で連載された日生マユの同名漫画。小学校を舞台に、口も態度もでかい小児科医・牧野が、その観察眼で“言葉にできないSOS”を見抜き、未来へ向かう子ども達の背中を押す保健室ヒューマンドラマ。10月12日より、日本テレビ系で毎週土曜21時放送スタート。
撮影:岡田健 衣装:加藤美紀 ヘアメイク:増澤拓也(スタジオまむ) 取材・文:浅原聡
Edited by VOCE編集部
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