【生理前の体重増加】は不可避！？様々な体調変化にどう向き合えばいい？

叶谷先生

一説には排卵時に出るプロゲステロン（黄体ホルモン）に水分保持作用があると言われており、それによりむくみが生じると言われています。生理前にむくみやすい主な要因は、女性ホルモンによる影響と言われています。

来院される方の中にもむくみ悩みを持っている方は多いですが、むくみ単体で来られるというよりは、「イライラとむくみ」や「頭痛とむくみ」など複数の要因でいらっしゃる方がほとんどです。

叶谷先生

むくみ以外の身体の不調では、胸が張る、頭痛、腹痛、眠気がある、などを訴えてくる方がほとんどです。まずはなぜそれが起こっているのか、という理由を知ることが大切でしょう。

叶谷先生

まずは程度の差はあるにせよ、実はかなり多くの人がPMSに悩まされていると言われています。生理前にはホルモンの関係によって、むくんだり、胸が張ったり、眠気が起こったり……ということが人によってはあるので、自分だけが特別生理前に不調をきたしているわけではありません。以前に比べて随分認知度が広まってきた言葉ですが、当院では問診票の中にも「生理前に不調はありますか？」という項目を入れています。ほとんどの人が何かしら生理前の不調を持っているものなので、生理前はそういうものだ、と理解すると少し気持ちが楽になるかもしれません。

叶谷先生

生理前の時期は可能な限りゆっくりするといいでしょう。例えばご褒美の時間を作るとか、予定を入れないようにするとか。もちろん仕事の調整ができないこともあるとは思うので、無理のない範囲で行うといいと思います。ご家族やパートナーがいる方は、相手にも説明しておくといいでしょう。毎月生理前にはPMS症状が起こること。自分はどんな症状があって、どんなことがつらいかなどを伝えておくと、協力を得られるはずです。

叶谷先生

身体に関する話ではないですが、患者様の中に「PMSを治さないと婚約破棄する」と相手に言われてしまうほど、生理前のイライラ症状がひどく、本人も悩まれている方がいらっしゃいました。PMSは自分だけではなく周りにいる人にも影響を与えてしまうものですが、男性は女性のようにホルモンバランスなどによる不調で悩むことがほとんどないので理解できないという人も多いのが事実です。

けれど、自分の彼女だけが特別にPMS症状がひどいわけではなく、全ての女性が何かしら生理前の不調を抱えているということを知ってもらうといいと思います。私は患者さんに「良かったら彼も連れてきて」と伝えています。私たちから伝えることで、理解してもらうきっかけにも繋がると思っています。

叶谷先生

まずは、塩分を控える、カリウムを摂る、過剰な水分摂取を控える、運動やマッサージなどで血流を良くする、自律神経やホルモンバランスを整えるために充分な睡眠などが考えられます。また、当院ではPMS症状がある方で妊娠を考えていない方には、広義の意味の月経困難症として低用量ピルの処方を検討します。それ以外に漢方薬を紹介することもありますね。最近ではむくみに効く漢方薬もあるので、そういったものを提案することもあります。

叶谷先生

そもそも、身体にはいくつかの水分保持・排出の仕組みが備わっていますが、その1つに「体液のミネラルバランスの調節」があります。塩（＝塩化ナトリウム）に含まれるナトリウムが身体の中に多くなれば、その分この濃度を薄めるために水分を身体に保持し、ミネラルバランスを保とうとするため、むくむのです。
そのため、漢方薬では利尿作用を促すものを提案しています。むくみは尿として出すというのが良いでしょう 。

叶谷先生

むくみを排出するという意味では、大豆油や米ぬか油に多く含まれるビタミンEの一種で、PMSの主な症状の1つである「むくみ」を軽減する作用が期待されている、γ（ガンマ）-トコフェロールとγ-トコトリエノールを摂取するのは良いと思います。実はむくみが強い人は否定的な感情も強いというデータもあるので、気持ち面においての効果も期待されています。サプリメントで補うといいと思いますよ！

叶谷先生

PMSはどうせよくならない、自分のせいだと思いがちな方も多くいらっしゃいます。でも今はよく効く薬があるし、さまざまな治療法があるということを知ってほしいです。対処法はいくらでもあります。

低用量ピルやホルモン剤治療を敬遠する人がいますが、副作用がほとんどないものも多いです。悩んでいるなら、まずは専門家に聞いてほしい。治療法はいくらでもあるし、それを強制したりはしません。今よりは良くなるといいなっていう発想を持って、まずは受診してみてくださいね！