連載 実験VOCEでガチ比較!

人気のご長寿企画『実験VOCE』の裏側をリポート

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『ベースメイクBOOK』担当ライターの【マスクメイク】におすすめのベースメイク!【VOCEの撮影裏も大公開】

VOCE創刊とほぼ同じ時期の、1999年12月から始まった連載企画『実験VOCE』。メーカーにとっていい結果も悪い結果も忖度なしに公開してしまう“ガチ”な姿勢が支持されているこの企画の裏側を、部外者立ち入り禁止の研究所からご紹介します!

創業1985年の研究所なくして『実験VOCE』は誕生せず!

人気企画の『実験VOCE』は、とある研究所の研究員数名が検証を行い、その結果を紹介するという内容。

よく編集者が編集部でコツコツとすだちにファンデーションを塗っていると思われているのだが、それは違う。専門の第三者機関に委託をし、湿度、温度などの状況も完璧に整え、まさに“ガチ”な実験をおこなっているのである。

この実験企画はVOCEがパイオニア、今ではさまざまなメディアでも見受けられるが、ここまでの手間と労力をかけ、公平な実験をおこなっているのはVOCEだけだ! と胸を張って言える看板企画なのである。

撮影も研究所の中にあるスタジオにて行われるのだが、その場所は――

ガンダム立像

実物大のガンダム立像があることで有名な観光地、お台場。商業施設が立ち並ぶ華やかなデートスポットに、研究所はある。化粧品の性能評価のほか、料理レシピの開発や家電などの商品テストなども実施している総合研究所なので、機密情報が本当にたくさん。決められた場所以外には立ち入ってはいけないなど、その厳重さにいつも少しだけドキドキしてしまうのだった……。

5月号のテーマは注目度の高いファンデーション

この日の実験テーマは2021年春夏に発売されるファンデーション9品。その実験結果を研究員2名、カメラマン、担当のVOCE編集者、そして担当ライター立ち合いのもとで撮影していく。あまり知られていないことだけど、実は検証そのものはこの日までにほとんど終わっているのだ。エントリーされたファンデを編集部が集めて研究所に送ったのは撮影日の約1ヵ月前のこと。そのファンデを用いて研究員の方々は何度も何度も繰り返し実験を重ね、平均値を出してくれている。そう、誌面で公開されているのは1回限りの実験結果なんかじゃない。たとえばファンデなら、まるまる現物2本を使い切ってしまうぐらいの回数で検証されているのである。

モデルへの塗布実験も同時に決行!

モデルの肌に実際に塗ってみるとどんな感じかという塗布実験が行われるのもこの撮影日。VOCEST!の肌にファンデを塗り、ツヤの出方や肌色とのなじみ具合が見てすぐにわかるように撮影していく。どんな仕上がりのファンデなのかについてはすでに研究員たちが検証済み。この日はその通りの結果が出ているかを研究員がチェックしながら、撮影をしていくという流れになる。

モデルへの塗布実験

今回モデルになってくれたVOCEST!の軍司さんは1992年生まれ。『実験VOCE』が始まったときは7歳だったと判明し、連載1回目から撮影を担当しているカメラマンもちょっと感慨深そう……。

時勢を反映して「マスク移り」の検証が加わった!

マスクを外したときにファンデがベタっと付着しているのは避けたい。そんな声を取り入れて今回新たに加わったのが、“こすれには強いか”という名目のマスクへのファンデ移りを確認するテスト。1か月にわたって数名の研究員が自分の肌に毎日ひとつずつファンデを塗布し、約6時間マスクを装着して評価をしたのだけれど。

マスク移りの実験

ここで問題勃発。ファンデを塗る研究員の肌質などによって付着具合にバラつきが出現したのだ。摩擦には強かったとしても皮脂が多いとくずれやすくなるファンデも当然あるわけで。確かにみんなが「あのファンデ、マスクに全然つかないよね~」って賞賛しているものでも、皮脂過剰な私が試すとマスクにベタづきすることがよくある。あとは顔の形によっても、ファンデがつきやすいとかつきにくいとかの差が出そうだな……と思ったり。もちろん実験結果は複数人の平均をとっており、オイリー肌でも乾燥肌でも参考にできるようになっているからご安心を。

名物の“すだち実験”。その裏側では……

実験用のすだち

撮影は順調に進み、すだちの皮の凹凸を毛穴に見立て、カバー力を確認するテストの順番がきた。皮の表面の凹凸にバラつきがないか、皮の表面に傷はないか。なるべくいい結果が出るように、公平な結果になるように。実験に使われるすだちも、数多くの中からオーディションで選ばれし精鋭である。いよいよこの精鋭すだちにファンデを塗っていく……の前にまずは1mgまで計量可能な電子天秤で塗布するファンデの量を一定になるように計量。

電子天秤で塗布するファンデの量を一定になるように計量

ファンデが0.02gになるまで微調整していくのだが、これがもう本当に息が詰まるような繊細な作業。これをファンデの数だけ行うなんて、もう気が遠くなる……。ちなみに計量は、すだちに塗布する直前。一気に9品すべてのファンデを出してしまうと、乾燥したり固まったりしてしまって結果が公正でなくなるから。量を計量→すだちに塗布→次のファンデの量を計量という流れを何度も繰り返していくのだ。地道かつ繊細すぎるこの作業を見るたび、「私には無理」と改めて思う。

すだちに塗布作業

あらかじめ範囲を決めておいたすだちの皮に、研究員がファンデを塗布。この作業を編集者やライターが行っていると思っている人も多いみたいだけど、実際は完璧ノータッチ! 作業はもちろんのこと、撮影のためカメラマンのもとにすだちを持っていくことさえ禁じられているほどだ。研究員の方々、普段は優しくて穏やかなのに、実験に関係することになると突如、厳格な顔に豹変。それだけ真剣に取り組んでいるという証拠なんだけど、まったくお手伝いができないため、いつも不甲斐ない気持ちになってしまう…。

研究員の地道な検証なくして『実験VOCE』は存続せず!

温度や湿度などが完璧に制御された部屋の扉

これは温度や湿度などが完璧に制御された部屋の扉。温度や湿度が変わってしまって数値に差が出るといけないので、検証はおもにこの部屋で行われる。これもすべて公平な結果を出すため。検証結果は1回限りの出たとこ勝負なんかじゃない。研究員が何度も何度も同じ条件で同じように取り組み、導き出した結果なのだ。「すだちと肌は違うじゃん!」という意見だってもちろんあると思うけれど、実際塗ってみたときの参考になれば……という気持ちで、研究員の方々は検証を重ねている。マスク&在宅作業生活が長引き、ファンデを塗る機会が減ってしまったという人もいるかもしれない。でも「このファンデを塗ればこんな肌になれるんだ!」と想像しながら読んでもらって、購入するときの参考にしてもらえれば、すごーくうれしいと思う担当ライターなのであった。

構成・文/穴沢玲子

Edited by VOCE編集部

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