話してくれたのは…
Matt
1994年7月18日生まれ。7歳でピアノとバイオリンを始める。当時は野球チームにも所属。その後、吹奏楽部に入り、高校ではサックスを担当。大学では英語・サックス・ピアノ・ドラム・作曲を学び、アメリカ留学を経験。音楽活動時のアーティスト名はMatt Rose。
常に全肯定してくれた母あってこその現在の自分
母も僕もお互いが今、どんなことを考えているのか、感じているのかがわかる―。見えないGPSがお互いについてる感じ。親子ではなく、ソウルメイトです。
こんなことを言ったら父が悲しんでしまうかもしれないけど、父がアメリカに行くと聞いたときは寂しいというより、「すごいね。頑張って!」と、応援する気持ちのほうが強かった。だけどもしそれが母だったら? 野球をやめてからの学生時代をサポートしてくれた母なしでは、今の僕はいなかったでしょう。
小さい頃から、外で運動するのも好きだし、室内遊びも好きでした。僕自身は、なにかにつけて男の子、女の子で線引きされるのがとても不思議でした。今もジェンダーで分けられるのは本意じゃないし、それこそ差別が嫌いです。化粧をしようが、どんな格好をしようが、MattはMatt。母は最初のころは心配してましたが、ジェンダーレスって言葉が一般化した今、やっと生きやすい時代が来たと僕は感じています。
学生時代も今と同じしゃべり方だったから、「オカマみたい」とか「オネエぽい」と言われることもありましたが、母がいつだって僕を全肯定して接してくれたので、安心して毎日を過ごすことができました。
いつだって力をくれた、母からの言葉
美しくて、優しくて、強い、小さいころから僕の自慢の母。学生のころは周りに母を見せびらかしたくて、用事もないのに学校まで来てもらったり、家に友達を大勢呼んだりしました。その気持ちは今も、変わっていません。
芸能界に入ったことで、いろいろ叩かれたりもしたけれど、いつだ
ってひたむきに僕を支えてくれました。心ないアンチのコメントに僕
より憤ってくれたり、マネージャーとして慣れない連絡や撮影の立ち
会いを必死にこなしてくれたり。そんな母の応援があったからこそ、
ここまで僕は頑張れました。
“あなたの代わりはいないのよ”
“あなたにしかないものがある”
“あなたには素晴らしいものがあるの”
そして、
“あなたはあなたのままでいい”
母がくれた言葉たちは、僕の宝物。この宝物にパワーをもらいなが
ら、僕はずっと輝き続けてみせると、約束します。もっともっとこの世界で輝いて、必ず恩返しをします。
何がいいかな、大きい家? それじゃ普通すぎて僕らしくないから、宇宙旅行のほうがいいかな(笑)。そんな日が来ることを、楽しみに待っていてください。
ママ、たくさんの愛をありがとう。大好きだよ。
2021年春 Matt
あなたはあなたのままでいい 子どもの自己肯定感を育む桑田家の子育て
桑田真紀・著 講談社刊 1540円
偉大な野球人・桑田真澄さんを父に持ち、生まれながらに周囲からプロ野球選手を目指すことを嘱望されたMattさん。自分の「好き」を貫けたその強さや背景は? 強烈な個性を生み出した桑田家の子育てを母親・桑田真紀さんの目線で語ります。
Edited by 中田 優子
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