コスメ史に残る、数々の人気アイテムをつくったヒットメーカー、そのアイディアの源は?
今月の匠
コーセー ヴィセブランド プロダクトマネージャー
上村可奈子さん
Viséeの人気アイテムの生みの親!!
愛ちゃん
今日はヴィセの大ヒットアイテムついてお話を伺います。ヴィセのアイカラーといえば、しっとり質感が人気のグロッシーリッチ アイズ N。この秋も限定色が出ますね!
上村さん
ありがとうございます! しっとり感の鍵を握るのは2種類のオイル。左上以外の3色は色をしっかり密着させたいので、水あめみたいな固めのオイルを使っていますが、左上のクリーミィベースは下地なので、軽やかに広げたくて、さらさらのオイルを採用しました。パウダーだけどクリームのような感触を叶えるこの処方がなかなか難しくて。
愛ちゃん
めちゃめちゃしっとりつくし、繊細なツヤがあって、肌が透けるような発色もちょっとほかにはない感じ!
上村さん
うれしい! それが去年のリニューアルでこだわった点なんです。薄い板状(ばんじょう)の粉体を多く入れることで、透明感の高い発色に。また、もともとツヤ感が人気のアイカラーなので、輝きではなく上品な濡れツヤ感を追求し、パール感にもこだわっています。新色が完成したときはいつも、感動とみなさんに気に入ってもらえるか、ドキドキでいっぱいに。
愛ちゃん
上村さんは色のアイディアってどんなところから得るんですか?
上村さん
インスタも見ますし、雑誌からも多いですね。リアルな洋服とのコーディネートで、こういう色がつけたいとか、気分とトレンドを照らし合わせて考えることも。
愛ちゃん
このアイブロウパレットは茶色系だけでなくカラー入りで、ファッション寄りの印象。ピンクが人気のイメージですが、発売時はカラー眉アイテムは珍しかったのでは?
上村さん
はい。プチプラ系では、いち早くカラーを取り入れた眉パレットです。当時、髪色で赤が流行っていて、お客様から“眉に赤みを入れたくてアイカラーを使ってる”と聞き、使いやすいものをヴィセでつくるべきだとひらめいたんです。結果、ピンクがヒットしたので待っていた方が多くいたのを感じてうれしかったですね。初代は2016年発売ですが、2019年により使いやすくなるようレッド系の色にリニューアルしました。
愛ちゃん
秋の新色はシックなパープル系なんですね。どうしてベージュにはパールを入れたんですか?
上村さん
パールで明るさを出すことで、くすみ系のパープルが沈みすぎず楽しめる色設計にしています。
愛ちゃん
なるほど! 下地のトーンアップ プライマーなのですが、これはヴィセの売り上げを支える陰の人気アイテムとの噂を聞きました。
上村さん
そうなんです。ラベンダーカラーが発売した去年の2月は、マスクメイクになったり、リモートやオンライン会議が増えた頃。一本で人前に出られるトーンアップ効果がニーズと合致し、ヒットアイテムに。
愛ちゃん
トーンアップって当時も結構流行ってましたよね。これはどんなところにこだわってるんですか?
上村さん
私はイエベなので、自分が塗っても白浮きしない肌なじみのいいトーンアップ下地を目指しました。9月にはマスク対応を強化したケアタイプのグリーンと、水ツヤ感を叶えるシャインが登場します。
愛ちゃん
最後に、透け感が特長のフォギーオンチークス Nについても。
上村さん
このチークは、本来チークを担当するベースメイク研究チームに、透ける発色が得意なアイカラー研究チームが加わり、共同プロジェクトで生まれた力作。リキッドチークのような透け感と自然な血色感を目指しました。
愛ちゃん
わあ、一大プロジェクトですね。ドーム形も可愛いです♡
上村さん
ありがとうございます! 私はコスメオタクで、化粧品をつくるのが夢でした。これはイチから担当したアイテムだったので、 自分が使いたいものをつくりたいと思い、見た目の可愛さも重視してドーム形に。ブラシは絶対に幅広タイプにしたかったので、下段にブラシを収納できる2段構造のケースにもこだわりました。
愛ちゃん
上村さんのコスメオタク魂やリアルな女子の視点も、ヴィセの商品づくりには生かされてるんですね。
上村さん
これからもヴィセは“プチプラだけど、デパコス級”を目指して開発しますので、ご期待ください。
「ヴィセのアイテムには私たちも共感できるコスメオタク的こだわりがいっぱい。使いやすさとトレンド感のバランスが本当に絶妙です」
撮影/榊原裕一(人物)、高橋一輝(静物) ヘアメイク/小松胡桃(ROI) スタイリング/西野メンコ 取材・文/小池菜奈子 構成/大木光
Edited by 大木 光
公開日:
この記事に登場したコスメ(6件)